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だいぶん長々とご無沙汰してしまいました。スミマセン。
とおりすがりさん,ホマスさん。前の記事(セルフトラバ)にコメントありがとうございました。でもって,せっかくコメントいただいたのでナニかちょっとした追加の解説でも書いとかなくちゃいけないかも知れないなぁ・・・と思っているウチに時間ばかりが過ぎ去ってしまっていたのであった。ヤレヤレ。 と云うワケで,以下,長くなりそうだけれどもちょっとダケ前の記事の件の解説を書いときます。 まず第一の前提として粉。には,比較的サラサラした粉とべとべとした粉がある。砂場遊びの時に,乾いた砂はサラサラしていて,砂のプリンみたいなのを作ろうとしても旨く行かない。これにちょっと(適切量の)水を加えると,砂の粒子の間に水が入ることに依って砂同士を結びつける(付着力を生じせしめる)ので,プリン型に詰めてからパコッと出しても形が維持される。と云うようなコトになっている。 でもって,以下はその,サラサラした粒子の話に限定。 「水は方円の器に随う」って云う故事成語がまぁこう云う時には良く引き合いに出されるコトになっているようなのだが。本来の意味は,「ヒトは」水のように環境(周囲)に影響され易い。と云う意味であって,つまりこの故事成語は決して水の性質について述べたモノではない。のですが,つまりこうして当然のコトとして比喩に使われるように,液体は自在に変形できて,入れ物の隅々まで行き渡る。と云う特徴的な性質を持っている。固体は変形できないので,このような性質は無い。 しかし一方,「粉」は,「固体の」集まりではあるけれども,1ヶ1ヶの粒子は独立して動くコトができるので,実際,(1ヶ1ヶの粒子のサイズに比べて十分に大きな)容器にサラサラした粉を入れれば,それは全体としては容器の形に従うであろう。 この時。粉が集合体全体としての形を変えられるためには,つまり粉がサラサラと自由に流れるコトができる為には,ちょっとしたコツと云うかヒミツがあるんですね。 砂時計の出口の砂の様子を観察すると良い。粒子同士は満員電車の中のヒトのようにしてみちみちに詰まっているワケで,全員が全く自由に動けるのかと云うと決してそうでも無いのです。1ヶの粒子が移動する為には,隣に1ヶ分の空間が無いといけない。だから,砂時計の出口では,一番下の粒子が(支えが無いので奈落のハテに)落ち。そしたらそのできた空席に次の粒子が落ち(て来て,その下が無いのでそのまま落ちて行き),と云う具合に,空席ができるたんびに順番に粒子が移動して行く必要がある。満員電車の中の(出口の)ヒトの移動と同じ具合。実際,砂時計を良く観察すると,砂がちっとも動いていない部分と,蟻地獄みたいになってる表面の動いている砂の部分と,に分かれていて,全体が一斉に流動してるワケではないコトが解る。 と云うワケで。砂がサラサラと流れる為には,砂同士がひっつかないでサラサラした性状を保つコトが必要であるのと同時に,粒子の間に粒子が動ける多少のスペースが維持されないとイケナイと云うワケなのです。 ビニール袋の中に砂を入れて,砂の入っている部分だけを軽く絞って閉じてみると良い。外側からこの砂袋をぐにぐにと揉むと,中の砂はぐにぐにと移動するでせう。 この時。これを今度は,もう少し,ぐっと詰めて。ぎゅっと絞って。砂を「より狭い空間」に押し込んで閉じ込めて見ると,砂袋がすごく硬くなるハズ。つまり,今度はぐにぐにしようとしても,砂粒子の間に,粒子が移動できる隙間が無くなって,砂集合体全体がある種の「固体」のように振る舞う。こう云う風になるのをジャミングと呼んでおります。 ジャミングの日本語訳は「詰まる」。交通渋滞もコピー機の紙詰まりも「traffic jam」「paper jam」です。 この「ドラえもんハンド」は,この粉体流ジャミングを利用している。と,元のリンク先の解説にはある。
とまぁ,動作原理(と,実装・実現のために重要なパラメタ)はそのようなモノであると云う処までは解るワケですよ。 ほんでね。ワシが個人的に前の記事で「解らん」と云ったのはね。このゴム袋の変形と固化でもって,物体の「下側」まで指がかかって→固化して→持ち上がる。ってんなら,その部分は理解可能なんですけど。 軽そうな物体。耳栓とかの動画はさ。なんて云えば良いんだろ。山形を重ねた状態で持ち上がってるじゃぁないのよ。この様子を表すのに適切な文字記号が残念ながら世の中には存在しないようである。この記号を90°左に回転させよ→「>>」 つまり山々。山々に重ねて形状が固定されたとして,この上の山を持ち上げると下がひっついて来るのは何でなの?・・・と云うのが,前の記事でワシが「解らん」と書いたポイントだったのですよね(全くもって長い長い説明で恐縮でございます)。 でもまぁ。確かに。振り返って見れば。イヤーピースとかそう云う小物は,自分の指で持ち上げる時でも,この「山々」コンフィグレーションで持ち上がってるよなぁ・・・。押し付ける時の相互の変形具合で密着すると気圧で付着する(持ち上がる)のかしらね?実際ソコんトコはどうなのよ?と云うのが質問である。解らない。誰か教えて下さい>特にひょっとしたらこっそりコレを読んでいる,粉体工学分野で粒子付着とか粒子の気流分散とか壁面からの粒子の飛散とかを専門にしているヒト。 でも,ともかく。この動画の生卵にははっきりタマげるでせう。やっぱり山々コンフィグレーションで持ち上げているし,その「つかみ」も結構浅いように見える。指でやってもこう云う風には持ち上がらないんじゃない?どうかな。って云うか怖くて試せないが。誰かゆで卵でやって見ません? この動画の実験と云うかデモでは,中身はコーヒー滓だと云うコトなので,粒子サイズはそんなには細かくは無い。つまり,掴む時の空間分解能はそんなには高くは無い。このゴム袋の,表面の性状とか,ゴムの厚みの具合とかにもノウハウ(適切な設定)が潜んでいるのに違いない。具合良くピッタリくっついて吸盤的な動作をしている(と云う要素も加わっている)のかしらん? とまぁ。長くなりましたが,そんなこんななのでございますことよ。 明日は昼から神楽坂方面遠征。シンポジウムは朝からやっているのだが,午前中は授業があるので午後から行くコトにした。でもって,自分の担当は1時間くらいある。ので,また何かしらのヨタ話をせにゃならん。一応準備はしてパワポも作っては見たモノの,ソレを見返すだに,
by electrostatics
| 2010-11-16 21:56
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